学校教育に期待できない今、自分の子どもは自分で守るしかない
ここでは、「子供のやる気」について密接に関わっている、今の学校教育について解説していきます。
2002年、戦後はじめて教育改革が行われたのは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか?
でも、具体的に何が変わり、子供にどんな影響が出ているかをご存知の方は結構少ないのではないでしょうか?
土曜日が休みになったでしょ?
小学校の授業中に英語や英会話を習ったりしてるんでしょ?
小中学校でパソコンの授業が増えたんでしょ?
ボランティア、社会見学が増えたんでしょ?
出てくる答えで多かったのはこのぐらいです。
では、お聞きします。
2002年からのゆとり教育で親として子供に接していて、子供の何が変わりましたか?
どんな影響が出始めていますか?それを具体的に答えられますか?なかなか答えられる人は少ないのです。
「何が変わった?って聞かれてもねぇ」
「わたしが子供の頃の時とは明らかに違うけど。」
とおっしゃる方が多いのです。ただ、わたしたち大人が子供の頃とは間違いなく違います。
それは学校だけに限らず、子供の世界が違うのです。
わたしが子供の頃より少年犯罪が多い?
わたしが子供の頃より不登校児が多い?
わたしが子供の頃より自殺する人が増えた?
わたしが子供の頃より教科書が簡単?
わたしが子供の頃より家庭内暴力が多い?
わたしが子供の頃より・・・
あげれば、きりがないかもしれません。
次の図を見てください。
これは平成11年度までの不登校児童数の推移の表なんですが、「注目!」のところを見ていただいたら、不登校児童数が、年々増加傾向なのがわかっていただけると思います。
また次のページの図をみてください
こちらは「少年の刑法犯被害認知件数の推移」というグラフです。ようは少年が凶悪な犯罪に関係した数なんですが、凶悪犯罪とは「犯罪白書」において、「殺人、強盗」とされています。ということは子供が殺人や強盗を犯した数と置きかえることができるとは思うのですが、「注目!」というところを見ていただければ、これも年々増加傾向なのがわかっていただけると思います。
「このふたつの表から、不登校児童数、少年犯罪数が増えたのはわかる。でも、それとゆとり教育となんの関係があるの?子供のやる気となんの関係があるの?」
とそろそろ言われそうなので、説明させていただきます。2002年度のゆとり教育を実施したことで、大きく変わった部分、子供に影響している部分は、大きく分けたら二つあります。
学校の授業の時間数
考える力の低下
このふたつが大きく影響しています。
「学校の授業時間数が減ったんでしょ?そんなこと知ってるよ」
という方もいらっしゃると思います。ご存じない方も当然いらっしゃるかと思います。
これからお話しすることは「子供のやる気」に関しても、ものすごく関連のあることです。
ご存知の方も少しお付き合いください。
不登校の増加は授業数の減少が原因だった

これは、わたしたち大人が子供の頃からの小学校の授業時間数の推移の表です。「注目!」というところを見てください。例えば昭和55年度と比べると昭和55年度は6年間で3659時間、2002年度(平成14年度)は6年間で2941時間。
その差は6年間で718時間になります。
この718時間減少とは「1年間で約100時間」「1ヶ月で約10時間」減少ということなんです。年間100時間も減少したらどういう現象が起こるか、容易に想像ができますよね。
授業についてこれない子が増えてくる
ということになるのです。わたしは「ゆとり教育」が良いとか悪いとか議論するつもりはありません。そういうことは、偉い人が議論してくださったらいいのです。
でも、誰が考えたって授業についてこれない子が増えてくるということはわかりますよね?だって当たり前のことだとは思いませんか?授業時間数が減る。だから時間内に理解できない。当然です。
では授業についてこれない子が増えたらどうなるでしょうか?
学校にいる時間の大半は教室に座って、国語や算数の授業を受けるわけです。ということは、授業についてこれない子は、学校にいるほどんどの時間がおもしろくないということなんです。実際にこういう現象が起こっているのです。
例えば、あなたがフランス語が話せないとします。にも関わらずフランス語で話をされたらわかりますか?わかりませんよね?当たり前です。
何言ってるかが、わからない
わからないからおもしろくない
ということになるとは思いませんか?
授業についてこれない子が、学校の授業を聞いているということが、これと全く同じことなんです。先生が何を言っているかがわからない。
わからないものは、わからないのです。わからないから、さらにおもしろくなくなる。そういうことなんです。じゃぁ次に、おもしろくなくなったら、どうなるのでしょうか?
先ほどもお伝えしましたが、「学校の授業の大半が教室での勉強」なんです。学校にいる大半が「何言ってるかが、わからない、おもしろくない」状況にあれば、学校なんて行こうと思いますか?思いませんよね?
だから不登校児童数が増えているのです。
文部科学省の調べで、不登校になるきっかけとして多かったのは、
友人関係をめぐる問題(45%)
学業の不振(28%)
教師との関係をめぐる問題(21%)
となっています。
友人関係をめぐる問題というのは、お察しのとおり、「いじめ」などです。
でも、ひとつ考えてみてください。いじめとは何かが、きっかけでスタートするわけです。
みんなと違うというのがきっかけというのが、もっともよくある理由です。日本人は皆と違うことを嫌います。それは子供の時からそうなんです。そういう民族なんです。ですので、皆と違う子を見ると「仲間はずれにしたくなる」のです。
「そのみんなと違う」という部分で、いじめられるきっかけになりやすいのが、やはり「勉強が苦手」ということなんです。
それは、小学校でも中学校でも、「先生がテストを作成(作成しなくとも出る範囲は知っている)」していますよね?ということは、先生が個人的にひとりの子を教えると問題になることが多いのです。ずっとひとりの子に構ってあげることはできないのです。
わたしたちの時もありましたが、「あの子ばっかりひいきしてるんじゃないの?」とか思う子が必ずいるのです。そしてそれがまわりに広がって、それが原因でいじめられれやすくなります。
でも、先生にしてみても教えないと余計、授業についてこれなくなる。だから先生もたいへんなのです。ただ、その「授業についてこれない子」はどちらにしてもいじめられてしまいます。それは授業についてこれないと成績が悪くなる。だからバカにされやすいひいきされていると思われる。だから仲間はずれにされやすい
結局、不登校の理由としては
友人関係をめぐる問題(45%)
学業の不振(28%)
45% と 28%を足した 70%は勉強に関係している可能性が高いということなんです。
だから学校に行かなくなる一番最初のきっかけは学校の授業についていけないから、勉強がわからないからという理由に関係していることが、もっとも多いのです。
暗記と理解の違いとは?子どもの考える力が低下している
ただ、思い出してください。2002年ゆとり教育をスタートする前、「学力が低下する」とさかんにニュースで言われていましたよね?それに対して文部科学省は授業内容を3割削減するという対策を講じたというのはご存知の方も多いかと思います。
なぜかといいますと、先で説明しましたとおり「その少ない授業時間数で対応するため」に他ならないのですが、結果的には、さらに悪い流れを呼ぶ結果になってしまったのです。
それはどういうことかといいますと、理解させる部分が削られてしまい、暗記の授業になっているということなんです。
暗記と理解との違いなんですが、辞書でひいてみますと
暗記とは「書いたものをみないでそらでいえるよう覚えこむこと」
理解とは「物事のしくみや状況、またその意味するところなどをわかること。納得すること。のみこむこと」
となっています。この暗記と理解との違いが「ものごとを考える力」に密接に関係しているのです。
どういう意味なの?といわれそうなので、算数にたとえて説明してみますね。まず、あなたが小学生だったころを思い出してください。
・・・・・・
思い出しましたか?
じゃぁ算数で習った 「台形の公式」 は覚えていますか?
答えは
(上底+下底)×高さ÷2
です。
正解できましたか?これ2002年の新指導要領で習わなくなったんです。でも、その後の微妙な改定で現在はまた習うことになっています(笑)文部科学省もよくわかりません。じゃぁ台形はなぜ、こんな公式なんでしょうか?
例えば、こういう台形があったとします。

台形の面積の公式に当てはめてみますと楽勝な問題ですよね?でも、もし公式をど忘れしたらどうしますか?困りますよね?でもこういう考え方もあるのです。
同じ台形をさかさまにして、くっつけるのです。ようは2倍になるわけですよね?これで長方形になりました。

そして、長方形の面積の公式は
縦×横
ですので、この場合の解き方は下のようになります。

こういう考え方もできるのです。そして、実は台形の公式はこうやって組み立てられています。
これが理解するということなんです。
ようは台形の組み立てられている仕組みを「あ、なるほどね~」といった感じですっと頭に入ってくること。それが理解するということなんですね。
もちろん答えを導き出す上では、暗記だろうが、理解だろうが、どちらでも構いません。
わたしがここで言いたいのはそういうことではないんです。何を言いたいかといいますと、時間を減らし、内容を3割削減したせいで、肝心な「なんでそうなるの?」的なところ、ようは理解する部分や理解する時間をカットしてしまっているのです。
今の学校の授業自体が「自分で考えるというよりも、先生に教わったことを型にはめて答えるだけ」というスタイルになってしまっているのです。学校の勉強がそうなってしまっているのです。思い当たりませんか?
家で問題を解かせたらあってるのに、テストでは間違う
覚えていたことをすぐに忘れてしまう
応用が利かない
どうですか?思い当たりませんか?なぜこういうことが起こると思いますか?それは、完全には理解していないのです。結局暗記になってしまっているのです。
そして、算数の公式ひとつをとってみても、長い目で見たときに、単に公式の暗記としっかり理解することでは、全く違う部分が出てくるのです。
それは
記憶の持続力、応用問題への対応力
がまったく違ってきます。
人間ですから時がたてば誰だって忘れます。ただ、一度しっかり理解したらなかなか忘れません。そして、きちんと理解しているからこそ、応用が利くのです。
ただ、現実には今の学校の授業自体が、「いちいち理解させるように進んでいては時間が足りない」というのが現状です。だから先生も手っ取り早く暗記させてしまうのです。そうすれば、とりあえずその場は乗り切れます。
ただ、この「自分で考える、理解する」ということは、人間が生きていく上で、ものすごく大切なことなんです。
人間は物事を理解するために考えるということをします。
なんのこと?どういう意味?という言葉が聞こえてきそうなので、例をあげて説明していきまと、たとえば恋愛です。恋愛は難しいです。ひと一人を理解するのはものすごく難しいことだとわたしは思います。
でも、考えませんか?
このひとは何を考えているのだろう?
どうしたら嫌われないだろう?
そう、考えるんです。でも、考えることは時間がかかることなのです。そんなぱっと考えて、ぱっと理解でき、ぱっと答えが出せる人間なんかほとんどいません。いたとしても、そういう人は少ないのです。
本人なりに、一生懸命考えてやっと理解するのです。
ようやくひとつの答えが出るのです。
本当は勉強も同じなんです。
そんな簡単に理解できないのです。
特に学年があがればなおさらです。
覚えるだけなら、繰り返し繰り返し書いたり、声に出したりすると自然に覚えてしまいます。
でも、理解するためには個人差はありますが、どうしても考える時間がかかるのです
ということは、先で説明しましたとおり、今の学校の授業は
学校の授業自体がいちいち理解させるように進んでいては時間が足りない
いちいち考えているのを待ってはくれない
待ってあげる時間がない
のです。
考える時間が少ないから、考えようともしなくなってしまう
そして、そのうち考えるのがめんどくさくなってしまう
こういうことなんです。
学校自体がこういう風になってしまっているのです。
今の学校教育が無気力な子ども、考えない子どもを作っている
「今の子には無気力な子が多い」と言われます。それはいちいち考えるのがめんどくさいというところ、ようは学校教育から来ているのです。考えることをしないから「人を傷つけたときの痛み、人の気持ち」がわからないのです。
考えないから理解できないのです。考えないからわからないのです。だからこれだけ凶悪な犯罪、少年犯罪が増えているのです。
学校の授業の時間数が少ない
少ないから授業についてこれない子がいる
ついてこれないから成績が悪い、おもしろくない
わからないから学校もおもしろくない
勉強のせいでいじめられる可能性がある= 不登校児童数の増加
授業内容を3割削減
削減したせいで、理解させる、考える時間が減少
そのため、考える能力が低下
考える能力が低下したため、ものの良し悪しが本質的には理解できない= 少年犯罪、凶悪犯罪の増加
不登校にしても、少年犯罪にしても理由はわかっているのです。不登校も、少年犯罪も起こるべくして起こっているのです。
わたしたち大人が子供頃は、学校の授業時間数がたくさんあり先生も理解させるように、考えさせる時間をとりながら授業をさせることができました。先生もゆとりをもって授業をすることが出来ました。
学校の先生として、一番大切なことといっても過言でない、「子供に学校の授業を理解させること」これができるからこそ、生徒個々の人間性を見てあげて、親身になって相談にのってくださる先生、親身になって怒ってあげることもできたのです。
でも今はどうでしょうか?
あなたの学校に、
親身になって相談に乗ってくれる先生
しっかり行動を起こしてくれる先生
本気で子供を怒ってくれる先生
はいらっしゃいますか?
相談に乗ってくれる先生はいらっしゃるかもしれませんが、実際に行動に移してくれる先生は少ないのが現実です。ましてや子供を本気で怒ってくれる先生はかなり少ないとは思いませんか?
わたしたち大人が子供の頃は遅くまで親身に相談に乗ってくれる先生。そして悪いことをしたら本気で怒って殴る先生。
わたしは今の先生がだめだと言ってるわけではありません。ただ、そういう先生は減っているということを言いたいのです。それは先生に原因があるわけではなく、実際に親身になって本気怒ったり、仮にその子ためであったとしても殴ったりしてしまうと、PTAで問題になる可能性もあります。そういう学校の姿勢にも問題があるといえます。
そして、一番大きな理由は、先生は授業を遅れないようにするために、テストで点数を取らせるためにするために必死」なんです。
一組と四組の授業のスピードがあまりにも差が出てしまったり、点数に差が出てしまうと、問題になるのです。先生も上の先生に怒られるし、やはり保護者からの文句も出てきます。
当然ですよね。テストの結果や内申点でその先が決まるわけですから。
「うちのクラス授業の進度が遅いみたいなんですけど」
「四組の先生のクラスのほうが平均が高かったみたいなんですけど」
と言う人かどこの学校にもいるのです(悪いことじゃないですよ)
ただ、ここで考えてみて欲しいのが、じゃぁ今の学校の制度を保護者たちで変えていくことが出来るのか?ということなんです。結論を申し上げますと、変えていくことはできます。ただ、それには時間がかかります。
もしかしたらあなたの子供は義務教育を終了しているかもしれません。それでは意味がないのです。
でも、心配しないでください。あなたは今このサイトを訪問しています。
このサイトには
人間が生きていく上で
子供が成長していく上で
子供を通してあなた自身が成長するために
大切なことが書いてあります。
それをあなたが実践してあげて欲しいのです。
もはや、他人は当てに出来ない時代なのです。
自分の子は自分で守るしかないのです