医師不足問題が起こっている4つの原因

新聞、ニュースですでにご存知のように各メディアでは、いわゆる患者たらい回し事件など、医師不足による救急患者の受け入れ不能、診療科や病院の閉鎖、医師の過重労働などの問題が取り上げられ、日本全国で医師不足問題が話題になっています。

医師不足問題の原因としては

1 そもそも、医師数が足りない。
国はこの数十年、医師数が過剰な状態であるとして、医学部の定員の削減を行ってきました。
医師不足問題は、単純に医師の人数が少ないといった理由で問題になっているわけではありませんが、国際比較から医師数の少なさを指摘する関係者もいます。

以下は、厚生労働省調査からの参考グラフです。
医師の総数は増えていますが、人口対比率の上昇は鈍化しています。

年度別医師数の増減を表したグラフ

医師数の増減を表したデータ表


2 医師の診療科の偏在
小児科や産婦人科では、深刻な医師不足が進んでいます。
きつい労働のわりに、報酬や他の労働条件が合わないのがその理由の一つに挙げられています。
時代とともに、若い医師や医学生の考え方に変化がおこり、勤務時間外には余暇を有意義に過ごしたいという考えが一般的になってきたのでしょう。

厚労省が平成 20 年 12 月 3 日に発表した 07 年の医療施設調査によると、産婦人科・産科を標榜している病院数は前年比 2.4%減の 1344 施設となり、1990 年から 17 年連続で減少しています。
また、小児科を標榜している病院数も、前年比 2%減の 3015 施設で、こちらも 93 年から減少が続いています。

3 医師の地域による偏在
人口10万対の常勤換算医師数を都道府県別にみると、高知県(212.1 人)が最も多く、次いで福岡県(184.9 人)となっており、埼玉県(99.5 人)が最も少なく、次いで千葉県(111.1人)となっている。

都道府県別にみた病院における人口10万対常勤換算医師数
都道府県別にみた病院における人口10万対常勤換算医師数
平成 19(2007)年 10 月1日現在 厚生労働省調査


4 医療制度の欠陥
医療制度といってもいろいろあるのですが、その中の一つ、平成 16 年にスタートした新医師臨床研修制度も、医師不足を招いた要因の一つとされています。

新制度によって、新たに医師になった新人医師が、所属する医局の指示とは関係なく、研修先の病院を自由に選べるようになりました。

すると前述の通り、できるだけ都会の、勉強になる(症例数の多い)病院を選ぶことができます。
必然的に、地域の医療には人材は回ってこなくなります。
大学病院では何が起こるかというと、研修医が入ってこないことで人手不足になり、地域医療を担う病院に派遣していた医師を大学に引き揚げさせざるを得なくなります。
平成 20 年 9 月、千葉県の銚子市立病院がすべての診療を休止したのも、医局による医師引き揚げの影響が大きかったと言われています。

このページの先頭へ