医学の向上には医療制度、保険制度、社会システム、それぞれ整備が必要

現実に医学部を受験しようと思う学力レベルになると、自分の学力にかなり自信があるはずです。

中には、「もう世の中に分からないことなんて無いんじゃないだろうか?」とさえ、思っている生徒さんもいるかもしれません。

確かに、語学も、数学も物理もほとんどの問題は解けるでしょうから、そんな気がしても不思議ではありません。

しかし、医学のことはどうでしょう? 自分の体のことや病気のことは?
まだ、ほとんど手付かずの未知の領域として残っていると思います。

体のこと、健康のことは、生命に関わる最も重要なことですが、自分が医師でなければ、いちいち病院を受診して医師に聞かなくてはならず、しかもその言葉をただ信じるしかありません。

そういう意味では、「医師である自分」と言うのは、結構頼もしかったりするのです。

ただし、万能と思える医学も、まだまだ不明なことも沢山あります。
むしろ、まだわからないことのほうが遥かに多いでしょう。

それでも、全世界の医師や研究者が人類の未来のために研究や症例を積み重ね、着実に、確実に真理へと近づいています。
こうしていつか医学が人類の生命予後を劇的に良くしてくれるように感じますが、これにはまた別問題があります。

例えば、平成20年版の消防白書によると、この10年間で救急車の遅れは過去最悪で、到着7分、搬送26分と、6・5分延びているそうです。

このように、医学が一般市民に届けられるまでには、医療制度、保険制度や種々の社会システムまでトータルで整備がされている必要があり、医学という学問を突き詰めるだけでは、その力を人間社会へ100%還元できないというジレンマがあります。


濃い人生を送ることができる職業、それが医師だ!

医師、臨床医をしていると、患者さんの主治医をすることになります。
その中で、時には残念ながら患者さんがお亡くなりになることがあります。

そのほかにも、主治医ではなくても、アルバイト当直をしている最中に、その病院の患者さんが亡くなられることもあります。

そんな経験を重ねると、命のはかなさ、短さを、つくづく感じます。

その気持ちは、自分自身の人生にも反映します。

平均寿命からも分かるとおり、人は 100 年もまず生きられません。

健康で自分のイメージどおりに体が動き、物が考えられる状態となると、もっともっと短い時間しか使えません。

こうしている間も、刻一刻と、残された時間は減り続けています。

限られた時間を大切に生きる気持ち。
つまり、自分、両親、兄弟、子ども、家族、友人・・・ を大切にする気持ち。
今できることを一生懸命取り組む気持ち。

医師は、生命、命に対する意識が高まる職業です。
医師になると、自分自身がより密度の濃い人生選択ができるようになるでしょう。




医療のタブーについて

年々進歩を遂げる医学ですが、まだ万能ではありませんので、できることとできないことがあります。

医師も人間ですから、理想像とは異なることだってあります。

例えば、医師にも感情があり、診療時に気分が乗る時と乗らない時があります。

医師にも地位や役職がありますから、医師同士の利権争いがあります。

病院は経営もありますから、上手に利益を上げていかなければなりません。

このままの医療費、国家財政でいけば、現在の医療制度は崩壊する。

これらはほんの一部ですが、このように医師、医学の世界にも、他の世界と同様に、あまり語られることのないタブーがあります。

大げさかもしれませんが、どうしても世間ではそうは思われにくい、もしくはそう思いたくないとされていることだと思います。

医療の世界も、問題は山積みです。

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